2011/11/30

悪文の光景 - 複雑な入れ子の複文

書いた方には申し訳ないが悪文の典型ともいうべき日本語を見た。

ジャイアンツはQBイーライ・マニングが、父アーチー・マニングが現役時代にスターQBとして活躍したセインツ相手にパス47回中33回成功、406ヤード、2TD、1INTと奮闘。しかし守備陣が計577ヤード喪失と相手オフェンスを全く止められなかった。

NFL JAPAN.COM|ブリーズ5TD、セインツが攻撃爆発で圧勝、アクセス日:2011/11/30)

「ジャイアンツはQBイーライ・マニングが、父アーチー・マニングが」まで読んで戸惑った。私が何かを見間違えたのかと思ったのだ。しかし読み直しても確かにそう書いてある。

この文は意味を把握するのに一定の「努力」がいるのではないかという嫌な予感を感じながら先へ進んだ。文末まで読んだが、やはり何となくすっきりしない。

すっきりしない思いを持ったまま次の文を読み、吟味検討したらようやく分かってきた。初めの文の述部「奮闘」の主体は「ジャイアンツは」ではなく「QBイーライ・マニングが」のようだ。そして「ジャイアンツは」に対応する述部は、次の文の「相手オフェンスを全く止められなかった」だったのだ(おそらく)。

複雑な入れ子構造の複文を目にすることはある。しかし文をまたがった入れ子は初めて見た。

阿部圭一『明文術 伝わる日本語の書きかた』(NTT出版、2006) には文章を書くときに役立つルールが書いてある。その中に次がある。

  • 一つの文に二つ以上のことを詰めこまない。
  • 複雑な入れ子構造をもつ複文(意味上の複文を含む)を書かない。
  • 修飾語句をできるだけ少なく短くする。言いかえれば複雑な修飾関係をもつ文(逆茂木文)を書かない。

参考にしたい。