2012/01/05

積極的な言葉・消極的な言葉

中村天風のいう「積極的な言葉」「消極的な言葉」について、イメージしやすい具体例があったらいいと感じていた。今日、別の理由で『7つの習慣』をパラパラと読み返していたら、関連深い記述があった。

2011/12/20

会議 - 議長の心得、参加者の心得

昨日2011年12月19日、ある会議を主宰し議長を務めた。同じ日、参加者として別の会議に出席した。二つの会議を通じて会議の効率化について思うところがあった。

会議の効率化に注意が向いたのは、たまたま『D・カーネギーの会話力』を読んでいたからだ。この本では会議のむだをなくすことについて一つの章を使って書かれている。中でも、会議の議長になった場合と会議の参加者になった場合と、それぞれについての心得が書かれているので分かりやすい。参考になった部分を以下にまとめてみた。

2011/11/30

悪文の光景 - 複雑な入れ子の複文

書いた方には申し訳ないが悪文の典型ともいうべき日本語を見た。

2010/01/20

「将来の人口減」?

今日1月20日の朝日新聞に「外国人受け入れにポイント制、専門技術者ら優遇 法務省」という見出しの記事があった。興味をそそられたので読もうと思ったら次のような記述から始まっていた。
法務省は19日、新たな出入国管理政策として、専門知識や技術を持つ外国人に資格や年収に応じた点数をつけ、高得点者を入国や永住許可で優遇する「ポイント制」を導入する方針を固めた。将来の人口減を見据え、研究者や医師といった専門家の受け入れを進めて経済成長力を維持するのが目的だ。
(太字は引用者)
はて日本は既に人口が減っているのではなかったかと思い確かめたところ、やはり2007年・2008年と自然増減数は減少していた。
自然増減数(出生数から死亡数を減じたもの)は△5 万 1251 人で、前年の△1 万 8516 人より 3 万 2735 人減少し、自然増減率(人口千対)は△0.4 で、前年の△0.1 を下 回り、数・率ともに2年連続でマイナスとなった(第1表、第2表-1、第2表-2)。
「将来の人口減」というと現在はまだ人口が減っていないかのように読める。はたしてこの表現は記者自身が考えたものなのか、それとも法務省の言った表現をそのまま使い回しただけなのか。いずれにしろ読む側としては新聞に書いてあることを鵜呑みにしてはならないと改めて思い知った。

2009/10/07

一票の格差裁判に対する最高裁判事の判断

2007年参議院議員選挙の一票の格差裁判に対する最高裁判決が9月30日に言い渡された。結論は上告棄却の合憲判決だった。忘れないうちに各裁判官ごとの判断を記録しておきたいと思う。

まずは最高裁としての判断の結論は次のようなものだ。

本件選挙までの間に本件定数配分規定を更に改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えたものということはできず、本件選挙当時において、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたものとすることはできない。

そしてその理由は次のように記されている。

現行の選挙制度の仕組みを大きく変更するには、(中略)相応の時間を要することは否定できないところであって、本件選挙までにそのような見直しを行うことは極めて困難であったといわざるを得ない。

要するに従来の判決と変わりない。この合憲判断に対しては5人が反対した。合憲判断を下したのは10人であり、列挙すると次のとおりである。

氏名
出身
竹崎博允
裁判官
藤田宙靖
大学教授
甲斐中辰夫 
検察官
今井功
裁判官
堀籠幸男
裁判官
古田佑紀
検察官
涌井紀夫
裁判官
櫻井龍子
行政官(労働省女性局長) 
竹内行夫
外交官(外務事務次官)
金築誠志
裁判官

なお、このうち藤田宙靖・古田佑紀・竹内行夫・金築誠志の4人は補足意見を述べている。藤田宙靖の補足意見の抜粋は次のとおり。

投票価値の平等という見地からする限り、最大較差4倍超という数字をもってなお平等が保たれているということは、本来無理な強弁というべく、それにもかかわらずこれを合憲であるというためには、それを許す合理的な理由の存在と、そ れについての立法府自らの国民に対する明確な説明、及び問題解決に向けての絶えざる真摯な努力が必要であるといわなければならない。

ただ、少なくとも本件選挙が行われた当時においては、いわゆる4増4減措置自体につき、なお、その後の本格的改正作業に向けての暫定的な措置としての位置付けを認め得るものであったこと、また、誠に遅々たる歩みであるとはいえ、参議院において、平成16年大法廷判決の趣旨等をも踏まえ選挙制度の改革に向けての前進をなお続けようとの気運が消失してしまったとまで見ることはできないこと等に鑑みるならば、参議院における上記のような検討状況についての憲法的判断は、今後の動向を注意深く見守りつつ、次回の参議院議員通常選挙の時期において改めて行うこととするのも、現時点では一つの選択肢であろうかと考える。

竹内行夫の補足意見の抜粋は次のとおり。

私は、衆議院議員の選挙においては、人口に基づいて議員定数を配分することが重視されることが当然であると考えるが、参議院も同様の厳格な人口比例原理を選出基盤とした議員により構成するとすれば、参議院は「第二衆議院」ともいうべきものとなりかねず、憲法が採用した二院制の趣旨が損なわれる結果になることを危惧する。

投票価値の平等の重 要性については今更多言を要しないが、選挙制度自体を見直すとすれば、単なる数 字上の定数配分の是正ではなく、憲法が国権の最高機関である国会につき二院制を採用している趣旨を踏まえた統治機構の在り方についての検討が求められる。それ故にこそ、参議院の在り方を踏まえた正しく高度の政治判断が必要とされるのである。

古田佑紀は竹内行夫の補足意見に同調している。

金築誠志の補足意見の抜粋は次のとおり。

結局、参議院議員の選挙においては、衆議院に比較すれば、投票価値の不平等を 緩やかに考えてよい要素はあるものの、上記のような著しい不平等の存在を長期にわたって合理化できるほどの根拠は見いだし難いといわなければならず、大幅な較差縮小のための立法措置が不可避である。

こうした制度の見直しは、二院制の下における参議院の役割、在り方を踏まえた、それにふさわしい、バランスの取れたものであることが求められるから、国会に対して、この判決の趣旨に沿った法改正の立案・審議のため、一定の時間的猶予を認めざるを得ず、本件選挙までの間に本件定数配分規定を更に改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えたものとまでいうことはできないものであり、今直ちに違憲判断をすることは相当でない。

違憲判断を下したのは次5人。

氏名
出身
中川了滋 
弁護士 
那須弘平
弁護士
田原睦夫
弁護士
近藤崇晴
裁判官
宮川光治
弁護士

中川了滋の反対意見の抜粋は次のとおり。

投票価値の平等を憲法の要求であるとする以上、そのような較差が生ずる選挙区設定や定数配分は、投票価値の平等の重要性に照らして許されず、これを国会の裁量権の行使として合理性を有するものということはできないと解するべきである。このような較差が生じている不平等状態は違憲とされるべきものと考える。

以上によれば、本件定数配分規定は違憲であるが、国会による真摯かつ速やかな是正を期待し、事情判決の法理に従い本件選挙を違法と宣言するにとどめ、無効とはしないものとするのが相当である。

那須弘平の反対意見の抜粋は次のとおり。

本件選挙については、本件改正が平成18年大法廷判決における上記判断に織り込み済みであって再度評価の材料とすることは相当でなく、他に、国会の審議に見るべき進展があったとか、進展に向けた真摯な努力が重ねられたという形跡も見受けられない。

してみると、本件選挙については、適切な対応がなされることなく1対2をはるかに超えて1対3に近い大幅な較差が残されたまま実施された点において、憲法の違反があったと判断せざるを得ない。

田原睦夫の反対意見の抜粋は次のとおり。

何らの合理的理由もなく4倍を超える投票価値の較差が多数の選挙区において生じるという違憲状態が長期間にわたって生じ、かつ、その解消のためには選挙制度の抜本的改正が必要であることが最高裁判所大法廷判決によって指摘されたにもかかわらず、その後10年以上かかる改正がされないままの状態の下で施行された本件選挙は、憲法に反する違法な選挙制度の下で施行されたものとして無効であるといわざるを得ない。

近藤崇晴の反対意見の抜粋は次のとおり。

前回選挙後にされたいわゆる4増4減を内容とする本件改正は、根本的な見直しには程遠い弥縫策と評するほかないものであって、平成16年大法廷判決と平成18年大法廷判決の多数意見を前提としても、本件選挙当時の本件定数配分規定を違憲とする余地は十分にあると考えられる。私は、前々回選挙についても、前回選挙についても、5倍を超える較差を生じていた当時の定数配分規定は、前記の基本的な判断枠組みの下であっても、憲法14条1項に違反していたものと考えるが、平成16年大法廷判決と平成18年大法廷判決の多数意見を前提としても、本件定数配分規定を違憲とすることが、必ずしも実質的にこれと抵触するものではないと考えるものである。

宮川光治の反対意見の抜粋は次のとおり。

私は、60余年にわたる国会の不作為を、裁量権の行使の範囲にあるものとして容認することは到底できない。

私は、本件定数配分規定は、本件選挙当時、違憲無効の状態にあり、いわゆる事情判決の法理により、原判決を変更し、上告人らの請求を棄却するが、主文において本件選挙が違法である旨を宣言すべきであると考える。そして、さらに、今後、国会が、抜本的改革に要する合理的期間経過後においても、改革しない場合は、将来提起された選挙無効請求事件において、当該選挙区選挙の結果について無効とすることがあり得ることを付言すべきものと考える。

判決文はこちら(PDFファイル)。

2009/09/15

政治家のメディア選別と取材拒否

本日9月15日(火)の朝日新聞朝刊に次のような見出しの記事が載っていた。
「マスコミ選別 選挙戦森元首相」
「地元紙以外は取材拒否」

Webには載っていないので簡単に補足すると、先の総選挙で森元首相が地元紙2紙(北国新聞と北陸中日新聞)以外の取材を拒否したことに対して、「異例の事態」の経緯と「森氏側の言い分を改めて検証」したものだ。

記事は、森元首相の「万歳」がほとんどのメディアで報道されなかったことや、森陣営が公示前から取材を拒んでいたことを伝えている。また、投開票日の前日には石川県政記者クラブに加盟する報道15社に対して「当選セレモニー」を開く旨がファックス通知されたにもかかわらず、当日になって森元首相本人の意向により一転して地元2紙以外の取材が拒否されたことも報じている。

この記事は全体を通して事実経緯を客観的に伝えるという形態をとっている。しかし、上に記したような見出しの文言や、「有権者へ説明責任」「自由な言論を否定」という識者のコメントが付されていることからしても、森元首相の態度を否定的な観点から問題提起するという意図から掲載されたことは明らかだ。

ところで、私がここで問題にしたいのは森元首相の態度ではない。当事者たるメディアの一員としての朝日新聞の態度である。

朝日新聞は石川県政記者クラブに加盟しており、加盟していないメディアの記者会見出席等を拒否している。取材対象がメディアを拒否しているのではなく、メディア自身が同業他社を拒否しているのだ。長年にわたり日常的にそのようなことをしておいて、今回たまたま取材拒否されたことを問題にするというのは、いったいどういう了見なのだろう。記者クラブ制度を廃止するか記者クラブから脱退してからこのような記事を載せるべきだ。

2009/06/26

国際結婚して海外で子を出産した方はご用心

次のような報道があった。

国籍再取得に向け訪日 日比の親持つ子供ら

結婚した日本人男性とフィリピン人女性との間に生まれ、出生時に日本国籍を持ちながら、フィリピンに残され、手続きの問題で日本国籍を喪失した子供5人が25日、国籍再取得のため母とともにマニラから訪日した。子供たちは京都府内の学校に通いながら国籍再取得を申請、母は身元引受先の介護施設で働き、養育を続ける。

問題の背景は次の点にある。

結婚した日本人と外国人の子供は、出生と同時に日本国籍を取得。ただし、外国で生まれ、日本国籍と同時に外国籍も取得した場合、出生から3カ月以内に日本国籍留保の届け出を現地大使館などにしなければ、日本国籍を喪失する。

この国籍留保の届出は出生の届出と同時にしなければならないとされている(戸籍法104条2項)。つまり、出生届のときに国籍留保の届出をしなかった場合は、最初から日本国籍を持たなかったことになってしまう。

これに関し、実務上は次のように考えられているようだ。

戸籍法は国籍留保届を特別に設けておらず、出生届の「その他」の欄に「日本国籍を留保する」旨記載することによって行われている。国籍留保の意思表示をしなければ日本国籍を喪失するこの出生届は、国籍留保の意思表示の届出とともにしなければ、受理すべきではないと解されている。国籍留保の意志が明示されていない出生届を誤って受理した場合には、通常は国籍留保の意志があると解されているので、出生届が期間内になされている限り、その後に国籍留保の追完的届出があれば有効として扱われている(昭和35年6月20日民事甲第1495号民事局回答)。

木棚照一『逐条註解国籍法』(日本加除出版、2003年)
(太字は引用者)

報道の事例で役所(領事館)の係の対応がどうだったのかは分からないが、気の効いた対応がなされていればこの問題は防げた可能性がある。いずれにしろ、国際結婚して海外で子を出産した人は、子の国籍の問題を気にかけておく方がよい。