2009/09/15

政治家のメディア選別と取材拒否

本日9月15日(火)の朝日新聞朝刊に次のような見出しの記事が載っていた。
「マスコミ選別 選挙戦森元首相」
「地元紙以外は取材拒否」

Webには載っていないので簡単に補足すると、先の総選挙で森元首相が地元紙2紙(北国新聞と北陸中日新聞)以外の取材を拒否したことに対して、「異例の事態」の経緯と「森氏側の言い分を改めて検証」したものだ。

記事は、森元首相の「万歳」がほとんどのメディアで報道されなかったことや、森陣営が公示前から取材を拒んでいたことを伝えている。また、投開票日の前日には石川県政記者クラブに加盟する報道15社に対して「当選セレモニー」を開く旨がファックス通知されたにもかかわらず、当日になって森元首相本人の意向により一転して地元2紙以外の取材が拒否されたことも報じている。

この記事は全体を通して事実経緯を客観的に伝えるという形態をとっている。しかし、上に記したような見出しの文言や、「有権者へ説明責任」「自由な言論を否定」という識者のコメントが付されていることからしても、森元首相の態度を否定的な観点から問題提起するという意図から掲載されたことは明らかだ。

ところで、私がここで問題にしたいのは森元首相の態度ではない。当事者たるメディアの一員としての朝日新聞の態度である。

朝日新聞は石川県政記者クラブに加盟しており、加盟していないメディアの記者会見出席等を拒否している。取材対象がメディアを拒否しているのではなく、メディア自身が同業他社を拒否しているのだ。長年にわたり日常的にそのようなことをしておいて、今回たまたま取材拒否されたことを問題にするというのは、いったいどういう了見なのだろう。記者クラブ制度を廃止するか記者クラブから脱退してからこのような記事を載せるべきだ。