2007/02/28

労働組合と個人情報保護法

日本航空の労働組合「JAL労働組合」が、社員である客室乗務員約7000人分の個人情報を本人に無断で保有していたとの報道があった。
JAL労組、7千人の情報無断保有…思想や容姿評価も

読売新聞より。

この問題について、冬柴国土交通相は27日の閣議後記者会見で、
「とんでもない話で、個人情報保護法上の問題があるかどうかを調査したい」と述べた。
はて労働組合のような団体にも個人情報保護法の適用があるのだろうかとフと思い、
調べてみた。


個人情報保護法での法規制の対象は「個人情報取扱事業者」として定義されている。

個人情報保護法第2条

3 この法律において「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。
一 国の機関
二 地方公共団体
三 独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成15年法律第59号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
四 地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
五  その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者

(太字は引用者)
労働組合は「事業」を行う団体にあたるのだろうかと思いつつ、岡村久道『個人情報保護法』(商事法務、2004年)をひもといてみると、次のように解説されていた。


次に、大量の個人情報データベース等を取り扱うことによる個人の権利利益侵害のおそれは、営利目的の事業か否かで本質的な違いがないことを理由に、非営利のNPO等も「個人情報取扱事業者」に該当しうると解されている(略)。一般に「事業」とは「なんらかの経済的利益の供給に対応して反対給付を受ける経済活動」をいうものと解されている(略)。したがって、本文の解釈は一般的な「事業」概念と異なる解釈が採用されていることになろう。
これによると「個人情報保護法上の問題がある」ということになりそうだ。